主要企業の2021年12月期の決算が出揃ってきました。
そして2022年3月期の見通しについて、
日経新聞が情報を開示した約1,600社を対象に情報を集約しました。
その結果期初の業績計画より上回ると回答した企業が、
全体の46%であることが分かりました。
据え置きだと発表した企業が36%。下方修正を行なったのはわずか18%となりました。
2021年についてもコロナウイルスの影響が引き続き強い中、
業績を伸ばしている企業が多い状況でした。
業績を大きく伸ばしている業界は、"製造業"と"海運業"です。
特に製造業についてはコロナ禍からいち早く業績を回復させた業界の一つであり、
その後の業績についても好調な企業が多い状態です。
ではなぜコロナ禍でも製造業は業績を伸ばしているのでしょうか。
日本の製造業
製造業といっても、取り扱う物は企業によって全く異なります。
では製造業にはどのような種類があるのでしょうか。
代表的な3つを見ていきましょう。
機械関連
製造業の中でも機械関連はとても大きいマーケットとなっています。
機械といっても幅広く、自動車や家電製品といった私たちに馴染み深いものから
工場の機械や研究機材など様々なものが製造されています。
《日本の主な機械関連の製造企業》
・トヨタ自動車
・株式会社日立製作所
・三菱電機株式会社
金属・鉄鋼関連
金属・鉄鋼関連の製造では、
主に建築や機械の一部として使用される部品を製造しています。
またリサイクルなどもこの分野に入り、資源が少ない日本を支えています。
《日本の主な機械関連の製造企業》
・住友電気工業株式会社
・JFEホールディングス株式会社
電子部品・電子デバイス関連
電子部品・電子デバイス関連ではその名の通りスマートフォンやパソコンなどの電子機器、
その部品などを製造しています。
電子機器については世界的にも進歩が目覚ましく、常に新製品の開発や製造が行われており
市場の需要はとても高いと言えます。
《日本の主な機械関連の製造企業》
・パナソニック株式会社
・京セラ株式会社
・株式会社村田製作所
その他にも食品・住宅・医療品など様々な分野が製造業には存在します。
戦後日本はものづくりの国として、大きく発展してきました。
先ほどあげた企業についても、日本を代表する企業が多く製造業は日本の中でも
基幹となる業界であることは間違いありません。
ではなぜコロナ禍でも製造業の業績は伸びているのでしょうか。
自動車・半導体の需要が世界的に増加
コロナ禍で伸びた分野として、製造業の中でも電気機器が目立ちました。
また自動車についても海外でも販売が増加傾向にあり、製造業の回復に寄与しました。
それぞれ何が要因だったのでしょうか。
半導体の需要増
電気機器の分野の中でも、半導体の需要が世界的に高まりました。
コロナ禍になり、一時期は世界中で経済が低下したものの2021年には
経済活動を再開する国も多く落ち込んだ経済を回復させようと急ピッチで対策が行われました。
各国同時に自国の経済の回復を目指した為、電子機器の需要が大幅に増えました。
電子機器の重要な部品として、半導体がありますが世界的需要の増加に生産追いつかず
価格が高騰しています。
また需要の増加だけでなく自然災害などで、世界の半導体工場が停止に追い込まれました。
またコロナウイルスの影響で人員が稼働しない工場もあり、半導体の供給量は減少しました。
世界的な半導体の需要増加、供給量の減少から半導体の価格が上がり
業績の大幅回復へと結びついたのです。
自動車製品の好調
日本を代表する自動車製品につきましても、海外での売り上げが好調となりました。
半導体不足で自動車の生産にも影響が出てきており、需要が供給を上回る形となりました。
北米や欧州の需要が高いだけでなく、アジア圏や中南米の需要も高まってきており
海外全体での需要増加が売り上げの増加につながっていると考えられます。
また2021年については比較的円安の傾向がありました。
自動車の分野では、海外への販売に頼っている形であり為替の影響を大きく受けます。
自動車以外でも製造業では輸出に頼っている部分が大きいので、
この為替による利益の増加についても製造業がいち早く回復した要因の1つとなります。
今後の見通しについて
日本を代表する企業が多い製造業では、この先も半導体不足がしばらく続くと考えられ
業績が上向いた形で安定する見通しです。
しかし半導体不足で半導体関連の企業は好調に推移しますが、半導体を利用した製造を行う
自動車や電子機器製造の会社は供給が追いつかず、売上が増加しない可能性も高くあります。
トヨタ自動車についても半導体の確保による自動車生産台数の増加が
この先の売り上げに大きく関わってくると発表しており、
半導体が今後の鍵になることは間違いありません。
為替の面では日本の金融緩和やアメリカの利上げにより
暫く円安の傾向が続くと思われるので、輸出企業は業績向上に有利な展開になるでしょう。