こんにちは!関戸 凛です。
今回は「スタグフレーション」について解説していきたいと思います!
皆さんスタグフレーションについて、聞いたことがあるでしょうか?あまりなじみのない言葉かもしれません。
簡単に言うと、スタグフレーションとは「物価の高騰と経済の停滞が同時に起こっている状況」を指します。そう、あまり経済にとっていい状態ではないです。
基本物価が上がることによって、賃金も増加。それに伴い消費も増え更に物価は上がりますが、企業の業績も良くなり賃金がさらに上がり。。。というのが物価が上昇した際にいい状況と言えます。
しかし物価が上がったのに賃金が上がらないという状況もあり得ます。すると物価だけ上昇するので私たちの生活は困窮し消費が少なくなり経済が停滞します。
その状態を「スタグフレーション」と呼ぶのです。
このスタグフレーションが現在世界経済で起ころうとしています。なぜスタグフレーションが発生してしまいそうなのでしょうか。
インフレとデフレ、スタグフレーションの関係性
スタグフレーションについて、インフレとデフレが関わっています。
インフレ(インフレーション)・・・物価が上昇。通貨の価値下落
デフレ(デフレーション)・・・物価が下落。通貨の価値が上昇
通常インフレ(インフレーション)とは、物価が上がり通貨の価値が下落することを指します。先ほど説明した通り、通貨の価値が下がるので価値が下がった分賃金を上げることで、正の循環が産まれます。
その逆にデフレ(デフレーション)とは物価が上がりづらく通貨の価値が高い状態を指します。これは長年日本が陥っている状況であり、物価は上がらないので生活費に必要な金額が高くなるということはありませんが、賃金も上がりにくいというのが特徴です。
スタグフレーションは「インフレーション(物価の上昇)」と「スタグネーション(停滞)」が組み合わさり出来た言葉です。
つまり物価が上昇し経済が停滞している意味を込めています。
ではなぜ今このスタグフレーションが起きようとしているのでしょうか。
ウクライナ情勢によるインフレの懸念
スタグフレーションは、「インフレーション」と「スタグネーション」が合わさった言葉だと説明しました。
ではそれぞれ分解して現在の状況を整理していきましょう。
まずはインフレーションから。
現在ウクライナとロシアが対立している点から、世界中でエネルギーの供給が問題視されています。ロシアは世界有数のエネルギー供給国であり、石油や天然ガスなどロシアからの輸入に頼っている国も少なくありません。またロシアは小麦についても多く出荷しており、ロシアからの輸出が完全に止まると、世界中でエネルギーや小麦などの価格の高騰が見込まれます。
現在日本ではすでに車のガソリンが高騰し160円台に突入するなど、輸入しているエネルギーの価格が上昇することで輸入額が大幅に増加しています。
石油が高騰すると石油を使用した部品を使用している電化製品などにも影響が与えられ、全体的な物価の上昇に繋がります。
まだエネルギーの輸出入について、世界への影響が大きすぎるとのことで制裁をあえて外していますが、今後いつエネルギーの輸出入が本格的に止まるか分かりません。
その場合、消費が増える⇒物価が上昇 の流れではなく、供給不足⇒物価の上昇 の流れとなるのでもちろん賃金は上がりません。企業はむしろ材料の仕入れ費用が高くなるので、業績が悪化する可能性もあります。
エネルギーの供給が減少することにあり、良くないインフレーションが起きようとしているのです。
では「スタグネーション(景気の停滞)」について、見ていきましょう。
金利の下落による投資の減少
現在アメリカでは利上げを示唆した発言がされており、金利を上げる動きが出ています。この金利を上げる理由は下がりすぎている通貨の価値を上げるためです。
一つ前で説明したインフレーションは、物価が上がり通貨の価値が下がることを指しました。物価と通貨の価値は相反するものであり、物価も通貨の価値も上がるということはあり得ないです。
そのため金利を上げることで通貨の価値を上げ、相対的に物価を抑えようとしているのがアメリカの動きでした。
しかしロシアとウクライナの対立により、投資家はリスク資産への投資を避ける形となり安全な商品へ変換する動きが出ました。
その際に買われるのが、『国債』です。国債は国が発行している"国の借金"なので、その国が破綻しない限り必ず支払い分が返ってきます。
この国債が買われると、国債の価格が上昇し金利が下がってしまいます。金利が下がってしまう仕組みを簡単にご説明します。
《国債価格:10,000円の場合 1年後11,000円で返ってくる商品と仮定》
11,000円 ÷ 10,000円 = 10% 金利:10%
《国債価格:10,500円の場合 1年後11,000円で帰ってくる商品と仮定》
11,000円 ÷ 10,500円 = 4.7% 金利:4.7%
このように、国債が多く買われ国債の価格が上昇してしまうと金利が減少してしまいます。
つまりアメリカが今一生懸命金利を上げようとしてるところですが、ウクライナ情勢の影響により国債の購入価格が上がり金利が思うように上がらないという状況が起きています。
ウクライナ問題で投資家が積極的に企業に投資せず、国債の購入が多くなってしまうと企業の成長が停滞。金利の上昇がうまくいかない点からインフレが加速し経済の停滞が起こってしまうのです。
今後のスタグフレーションの危険性
今回はスタグフレーションについて、解説しました!
スタグフレーションの原因である、「インフレーション」と「スタグネーション」は現在のロシアとウクライナの対立から起こっているものです。
エネルギーの供給が不足する懸念や、地政学リスクに伴う投資家のリスク資産への投資回避などからスタグフレーションが引き起こされようとしています。
まず一番問題視されている「インフレーション」について、アメリカが今後金利の上昇幅やタイミングについてどう判断するかが大きなカギとなるでしょう。
またロシアとウクライナの対立が長期化するほど、このスタグフレーションのリスクが高まりますので、この対立の終着点がいつどのようになるかも注目です。
現在ロシアに金融制裁を行い、ロシアのGDPは数%落ちる見通しではありますが、世界中を巻き込んだロシアとウクライナの対立により、私たちへの影響も大きくなってしまいそうです。