経済

6ヶ月連続の貿易赤字 原油価格の高騰が関係

財務省が2月17日、貿易統計(速報)を発表しました。
今回発表されたのは2022年1月分の内容です。

輸出は対前年同月比+9.6%の増加
輸入は対前年同月比+39.6%の増加
差し引き額は−2兆1,911億円となりました。

1月に赤字額が2兆円を超えるのは8年ぶりとのことです。

輸入額・輸出額共に2021年の1月を上回る結果となりましたが、
その内訳はどのようになっているのでしょうか。

現在何が日本から輸出されていて、何が日本へ輸入されているのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。

2022年1月の輸出について

2022年1月の輸出額は、6兆3,320億円と11ヶ月連続で増加しています。
そしてこの輸出額ですが、1月では過去2位の数値となり好調でした。

具体的に伸びている品目名は、
『鉄鋼』『鉱物性燃料』『半導体等電子部品』などが挙げられます。

鉱物性燃料とは主に石油や石炭・天然ガスなどです。
現在は世界的な半導体不足により、半導体関連や鉱物の需要が高まっており
輸出額の増加に貢献しました。

また自動車関連についても2021年後半以降回復傾向にありましたが、
オミクロン株の感染拡大により、部品の供給が難航している側面があります。

オミクロン株が世界中で流行すると感染を拡大させないため、
国外の受け入れを制限する動きが出始めます。
日本でも外国人の受け入れを一時停止するなど、供給網に打撃を与えます。

また中国ではゼロコロナ戦略により、消費が落ち込んでいます。
そのため中国への輸出が鈍化すると見られています。

輸出について今後不安の残る状況ではありますが、
世界的需要に応えるべく、輸出額は伸びている状況です。

2022年1月の輸入について

では2022年1月の輸入について、見ていきましょう。

2022年1月の輸入額は、8兆5,231億円。
輸入額としては過去1位、1月としても過去1位の輸入額となりました。

輸入で主に増加しているのは、『原粗油』『石炭』『液化天然ガス』です。
各品目対前月比50%以上金額増加しており、輸入額の増加に寄与しています。

上記3つはエネルギーとなりますが、具体的に何に使われているものなのでしょうか。

原粗油・・・ガソリンと呼ばれ自動車の燃料として使われます
石炭・・・火力発電の燃料として、主に使用されます。
液化天然ガス・・・7割が火力発電所の燃料、3割が都市ガス用として使用されています

3つとも私たちの生活に必要なエネルギーとして、使われています。
生活に欠かせないものだからこそ、輸入せざるを得ない品目と言えます。

しかし今回増加額が大きかった品目については、
1月特別に消費が増えたというわけではありません。

時期的に輸入額が増加傾向になる品目ではなく、毎月輸入をしているのですが
なぜ1月にこれほどまで輸入額が増加してしまったのでしょうか。

2兆1,911億円の貿易赤字の秘密

2022年1月の輸出額から輸入額を引いた数字は、2兆1,911億円。
1月に2兆を超える赤字は8年ぶりです。

輸出額は1月としては過去2位の数値であり、決して悪くありませんでした。
それ以上に輸入額が大幅に増加してしまったため、赤字が拡大してしまいました。

では輸入額が増えてしまった要因は何なのでしょうか。

1.エネルギー価格の高騰

輸入額が大幅に増加した要因の1つとして、
エネルギー価格が高騰している点が挙げられます。

原油や液化天然ガスの価格が1年前と比較した際、1.7倍まで増加しています。
そのため輸入量が大幅に増加していなくても、輸入額は増加してしまいました。

このエネルギーの価格高騰の理由は、世界的に需要が増加した為だと考えられます。
2021年の夏以降コロナウイルスの経済への影響を最小限に食い止めようと、
各国の政府が経済の復旧を急ぎました。それに伴い電力の需要が高まり
供給が追いつかなくなり、価格が高騰しています。

この影響が大きくなり、エネルギー部門の輸入額が増加してしまいました。

2.円安の影響

これまで日本が大規模な金融緩和を行なっていた点や
アメリカが利上げを発表するなどした結果、円安が続いている状況です。

世界の通過と相対的に円が安くなると、為替の影響で輸入した際
価格が高くなってしまいます。

この影響もあり、輸出の面では輸出額の引き上げに寄与しましたが
輸入額の面でも価格の引き上げの要因となってしまいました。

今後の日本の輸出入について

現在エネルギーの価格の高騰は続いており、供給が伸びる見通しもないので
しばらくは輸入額は増加してしまうと考えられます。

また現在ロシアとウクライナの関係もありますので、今後関係性が大きく悪化した際
EUや周辺の国にも影響があると考えられます。
その場合正常に輸出出来ない状況が起きてしまう可能性も高く、
長期的に貿易赤字が続いてしまうことも充分あり得ます。

輸出の面についても、コロナウイルスの影響により不安定であり
現在貿易については見通しが悪い形となっています。

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