金融

円の価値 1970年代と同水準 私たちの生活への影響は?

国際決済銀行が2月17日、1月の実質実効為替レートを発表しました。

2010年を100とした時の実質実効為替レートは67.55と1972年以来の低水準となりました。
実質実効為替レートとは、貿易量や物価水準を基に算出された通貨の実力・価値を測る指標となっています。

普段は円に対して、ドルやユーロなど特定の通貨と比較して価値が上昇しているのか
下降しているのかを測ります。

しかしこの実質実効為替レートとは対象となる全通貨と比較し、
貿易や物価の数値を反映した指標となります。

実質実効為替レートの仕組み

ではこの実質実効為替レートでその通貨の実力や価値がわかると言いますが、
どのような数値が影響されているのでしょうか。

この数字は単純に様々な通貨と比較して高い、安いなどと決まっているわけではありません。
物価や貿易額なども反映した数値となります。
では通貨の額以外に、どのような数字で上昇や下落するのでしょうか。

各国の物価

この為替レートですが、外国の通貨との相対的な価値によって決まりますが、自国の物価の影響も受けます。

仮に自国の物価が上昇したとします。
そうすると今まで買えていた額で物が買えなくなってきます。

↓これまで
コーラ1本=100円

物価が上昇
コーラ1本=150円

今まで100円はコーラ1本分の価値があったのに、物価が上昇してしまうと100円はコーラ1本分の価値がなくなってしまいます。

つまり、物価が上昇すると相対的に通貨の価値が下がってしまうのです。

しかしこれは国際的にその通貨の価値が下がっているわけではないので、
事実上その通貨の価値は変わらないのです。

貿易額

国際的に見て貿易に使われる使用量が高い通貨は需要が高いと判断され
実質実効為替レートは上昇します。

つまり貿易で黒字が続いている時は、実質実効為替レートは高くなります。
その通貨の方が高く、円高の状態となりますので輸出に有利になります。

この貿易額についても、2国間だけの為替レートでは測れない内容となりますので、
国際的にその通貨が重要かどうかも実質実効為替レートの数値に影響します。

日本はなぜ実質実効為替レートが低下してる?

ではなぜ今日本は実質実効為替レートが低下しているのでしょうか。

単純な円安

実質実効為替レートでは貿易額や国内の物価上昇率なども計算されますが、
単純な為替レートも大きく影響します。

現在円安の状態が続いており、その影響が今回下落した大きな要因の一つとなっています。

日本は景気を良くするため金融緩和を多く行ってきました。
その結果世界的に見ても資金が多く市場に供給され、円の価値が下落している状況です。

企業の海外進出

通常企業が海外へものを輸出する際、輸出品は外国の通貨で買われるので
そのお金を精算する際日本円に戻します。

この円に戻す動きがある際、円が買われるので円の価値が高まるはずです。

しかし東日本大震災や輸出に不利な円高が続いていたこともあり、
海外に工場を建て現地生産現地販売を始める企業が増えました。

そうすると企業はわざわざ円に変換せず、海外で得たお金をそのまま海外への
投資金として消費するのです。

その結果円需要の増加による価値の上昇がなくなるため、円の価値が下がっていくのです。

実質実効為替レートが低い事による私たちへの影響

この実質実効為替レートが低いという事は、
円安同様輸入品が高くなるというデメリットがあります。

最近の原油高なども、この為替レートの低さが要因の1つとなっています。

しかし円の価値が下がっているからと言って、悪い影響ばかりではありません。

これまで諸外国に比べ高い数値を出してきた日本は、
円高が常であった為輸出を強みとしている日本には逆風でした。

バブル崩壊後、その影響もあり経済が伸び悩んでいた背景もあります。

現在大幅に実質実効為替レートが下落していますが、
諸外国と比べ特別悪い数値というわけではありません。

下落率は他国と比較しても高い為気になる点ではありますが、
これまで高すぎた円の価値が正常に戻ったとも言えます。

今後円安による輸出額が増加する事によって、企業の業績が上がり私たちの賃金増加へ
動くことが出来れば、この数値も悪くないのかもしれません。

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