2月21日、一時金の価格が1g=7,041円となり、史上最高値を更新しました。
金の最高値が更新されるのは、2020年8月に1g=7,032円の値をつけた以来、
1年半ぶりの事となります。
金の価格が上がっているのは、ウクライナ情勢の緊張感や世界的にインフレの傾向があり
お金の価値が下落し、物の価値(物価)が上昇していることが要因です。
しかしドルで買われている金よりも、
円で買われている金の価格の方が高い状況が起こっています。
同じ金なのに何故、日本で買われる金の方が高くなっているのでしょうか。
金の価格の決まり方
ではまず、金の価格の決まり方を見てみましょう。
金の相場は株の取引と同様、取引市場にて売買が行われ
その需要と供給の関係で決定します。
金の世界4大市場はロンドン・ニューヨーク・香港・チューリッヒ市場が挙げられ
盛んに取引が行われています。
他にもインドなどにも金の市場はあり、複数の市場で金の価格が決まります。
金の取引は大きく2つに分けることが出来ます。
現物取引と先物取引です。
現物取引
金と現金をその場で受け渡しを行うのが現物取引となります。
その瞬間に取引が行われ、金を手に入れる取引です。
先物取引
その場での金と現金の受け渡しが行われず、将来金と現金の受け渡しが発生する取引です。
大きな特徴は最初金を持っていない状態でも、「売る」ことが出来
将来価値が下がった時に「買う」ことで差額分の利益を得ることが出来ます。
先物取引では金の将来的な価格を測るバロメーターでもあり、
先物取引にて売りが多いのか買いが多いのかによって金の価値が上がるのか下がるのか
見通すことが出来ます。
金相場が変わる要因
では金の相場を動かす要因とはどのようなものがあるのでしょうか。
インフレ (お金の価値が減少 物の価値が上昇)
インフレが起こると、金の価格は上昇します。
物価とお金の価値は相反するものなので、物価が上がるとお金の価値は下がります。
逆にお金の価値が上がれば、物価は下がります。
昔は金や銀などが共通のお金として使用されていましたが、
今は各国通貨を持ち、紙幣などがお金の役割を果たしています。
お金と金の大きな違いは、大きな価値変動の可能性があるかないかです。
お金の価値は国内の供給量や他国の通貨との相対的な価値により、大きく変動します。
しかし金はその物質に価値があり、突然金の供給量が世界的に増加する事もないです。
お金の価値が下がった際、投資家などは価値が安定している金を購入し資産が目減りしないよう対策するので、インフレが起こると金の価格も上がりやすいのです。
世界情勢の悪化
金を購入する事で資産を安定させるという面で、
世界的な有事が起こった際にも金の価格は上昇します。
現在のウクライナ情勢の悪化により株価が落ちているように、
世界的に緊迫した事象が起こると株価は大きく下落します。
このような状況の際は株価を売却し、価値の変動が少ない安全な投資先を求めます。
そこで金が投資先として買われ、金の価値が上昇するのです。
金は価値の変動が少ない事から、安全な投資先として選ばれているのです。
円の金が人気な理由
では何故今円で買われる金が多いのでしょうか。これには為替の影響が存在します。
現在円安・ドル高の相場となっています。
金を日本で買う際は、ドルを円に一回立て替えて円で購入するという手順を踏みます。
そのためドル→円に換金する際その時の為替相場がとても重要となるのです。
具体的には下のような状況となります。
《円高・ドル安相場 1ドル=90円》
・1,000円分の金=11.1ドル
《円安・ドル高相場 1ドル=110円の場合》
・1,000円分の金=9ドル
このように同じ金額の金を購入する場合でも、
円安の時は金を安く手に入れることが出来るのです。
また現在その影響もあり、金の価格が高騰しています。現在価格が高騰している金を空売りし、将来金の価格が下落したタイミングで買いを行う事で利益を得ようとする
投資家がとても増えました。
その結果、円建ての金の先物取引金額が過去最高となったのです。
今後の金の価格について
現在ウクライナ情勢の緊張感、アメリカの利上げによる円安、
世界的なインフレの影響で金の価格が高騰しています。
特にウクライナ情勢の緊迫感が世界的に影響を与えており、
金の価格に対しての影響も高いと考えられます。
アメリカとロシアの対談が成功したタイミングで、
金の価格高騰は一旦落ち着くと考えられます。
しかし日本は金融緩和を続けている事から円安は続きそうな見通しであり、
円建ての金の価格は暫く高値が続くかもしれません。