楽天グループ株式会社の2021年12月期の決算が発表されました。
グループとしては過去最大赤字の1,300億円以上の赤字で着地をしました。
楽天グループでは金融関連からインターネットサービス事業、
最近ではモバイル事業にも手を付けるなど日本で名を知らない人はいない最大手企業の1つです。
その楽天グループが赤字となりましたが、内訳はどのような形となっているのでしょうか。
詳しく見ていきたいと思います。
楽天グループについて
まず楽天グループが手掛ける事業について、見ていきましょう。
大きく分けて楽天の事業は3つあります。
1.インターネットサービス
楽天の主力事業が、このインターネットサービスです。
国内最大級のECサイト『楽天市場』や医療品や日用品の通信販売を行う『Rakuten 24』
インターネット旅行予約サービスの『楽天トラベル』などが主なサービスです。
2021年については、コロナウイルスの影響により巣ごもり需要が高まり、
インターネットサービスを利用する人が伸びました。
コロナウイルスによってマイナスではなくプラスの売り上げを伸ばすことの
出来た事業の1つとなります。
2.フィンテックサービス
こちらの事業では主にクレジットのサービスとなります。『楽天カード』が主な商品であり
CMで見かけることも多いかと思います。
2021年12月でカード発行枚数が2,500万枚を超え、顧客が増加傾向にあります。
またこの楽天カードではオンラインショッピングを中心に取扱高が伸びている状況です。
銀行サービスである『楽天銀行』につきましても口座数が1,200マン口座を突破し、
売り上げ収益が増加致しました。
3.モバイル事業
モバイル事業について、2020年4月より本格稼働しました。
これまでdocomo、au、softbankという大手3大キャリアが携帯業界を牽引してきましたが、
そこに楽天も参入した形となりました。
新規参入の為、顧客を獲得するため1年間通信料金を無料とするキャンペーンを展開。
キャンペーンによって新規顧客の獲得を目指し、キャンペーンの終了に伴ってこれまで
無料だった通信料金の有料化よる増収を狙いました。
売り上げ、収益について
では各事業売り上げの推移はどのような数値となっているのでしょうか。
全体から見ていきたいと思います。
《全体の業績》
売り上げ:1兆6,800億円
営業利益:−1,900億円
純利益:−1,300億
総売り上げとしては1兆6,800億円ありますが、営業利益が−約2,000億円。
純利益では赤字額が改善され1,300億円のマイナスとなっています。
それでは各事業部の数値を見ていきましょう。
▼インターネットサービス事業
・売り上げ1兆33億円
・純利益 1,075億円
▼フィンテック事業
・売り上げ6,190億円
・純利益 891億円
▼モバイル事業
・売り上げ 2,275億
・純利益 −4,211億
上記のような内容であり、インターネットサービス、フィンテック事業が
売上の大半を占めている状況です。
モバイル事業について、売り上げが2,000億円以上ありますが利益の部分でマイナスが大きく−4,000億円以上となっています。
ではなぜここまでモバイル事業が赤字となっているのでしょうか。
モバイル事業の赤字について
ではモバイル事業の赤字について、負担となっている要因は何なのでしょうか。
主に2つ挙げることができます。
1.ローミング費用の負担
赤字が拡大している要因の1つとして、ローミング費用の負担が挙げられます。
ローミング費用とはそもそも何なのでしょうか。
ローミング費用とは自社の電波が届かないエリアで携帯を使用する際、
他社の電波を使用して通信を行うためにかかる費用を指します。
楽天は新規参入となるためまだ全国に電波を届けられる設備がなく、楽天の電波が届かないエリアについてはKDDIの電波を借りてサービスを提供しています。
この費用ですが、使用したら使用した分だけ増加する仕組みとなっています。
楽天モバイルを使用する顧客自体は増加傾向であるため、顧客の増加に伴いこのローミング費用も増加してしまいました。
この費用が膨大であり、赤字の要因の1つとなっています。
2.基地局拡大の先行投資
先程のローミング費用とも関係がありますが、
自社の電波を張り巡らせ自社のみで通信を賄うため、基地局を早急に整えている状態です。
この急速な基地局設備の拡大も重荷となり、赤字額が増加しています。
楽天モバイルの山田善久社長の話では、2020年4月以降収益の改善を見込んでいるとのことです。
基地局の設備が整ってきて、ローミングを終了できるエリアが増加することで
支出が減り収益の改善が出来ると想定しています。
楽天グループ今後の見通しについて
インターネットサービス事業については引き続きコロナウイルスの影響もあり、
拡大すると考えられます。
外出や各商業施設の営業時間が制限されることにより、EC分野は伸びてくるでしょう。
コロナウイルスの状況によってはGo Toトラベルの再会も期待され
更なる収益増加に結びつく可能性があります。
フィンテック事業については、楽天ポイントが収益を圧迫している状況であった事から、
2022年4月にポイント還元率が低下します。ポイント還元率を下げることにより収益の改善を目指していますが、この措置により楽天カードを使用しているユーザーがSBI証券に流れているとの情報もあります。
今後ユーザーの増加率や収益について注目です。
モバイル事業についてはローミングの終了により、4月以降赤字の改善を目指しています。
現在先行投資のため、資金を投下し設備を整える段階であり過去最大の赤字を計上しました。
モバイル事業の業績が全体の収益に大きく影響を与えるため、
次期についてはこのモバイル事業が鍵となるでしょう。
現在楽天グループはモバイル事業という大きな先行投資を終えようとしています。
今後投資した分の資金を回収出来るかが注目となります。