株式投資

市場再編!東証プライムってこれまでと何が違うの?個人投資家が気をつけるべき注意点

2022年4月4日に東証の区分が再編成されます!

2022年3月までの「1部」「2部」「ジャスダック」「マザーズ」の4つから3つになります。

再編成後は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つとなります。

この編成については1961年以来約90年ぶりの出来事となります。

なぜ今回再編成が行われるのでしょうか。

また今回の編成により、私たち個人投資家が気をつけることはなんなのでしょうか。

詳しく見ていきたいと思います。

ポイント:東証の再編により、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに分けられる

今回再編成される理由

今回1961年以来初めて東証が再編されます。90年ぶりの再編ですので、どれだけ珍しいことかが分かると思います。

ではなぜ再編今回再編されるのでしょうか。

再編される理由は大きく3つあります。

・各市場の差別化が曖昧
・東証一部の質の低下
・上場後企業が継続的に業績を上げる仕組みになっていない

では1つ1つ詳しく見ていきましょう。

各市場の差別化が曖昧

2022年3月までの東証区分は「1部」「2部」「ジャスダック」「マザーズ」の4つでした。

この4つの区分について、差別化が曖昧な点がありました。

そもそもこの区分について、2013年に東証と大証が統合した際に分けれれていた内容をそのまま反映した形で作られました。

東証1部については日本を代表する企業として、株式流通数や株式時価総額など具体的な数値がありました。しかし東証2部、ジャスダック、マザーズについては違いが曖昧でした。

ざっくりと現在勢いに乗っている企業は、「マザーズ」

あまり勢いのない昔から入っているような企業が「ジャスダック」

上記のようななんとなくの区分けはありましたが、明確ではなく投資家からすると分かりにくい状況でした。

また各市場のコンセプトも分かりにくいため、様々な角度から曖昧な状況でした。

東証一部の質の低下

4つの区分の会社数について見ていきましょう。2022年4月現在上場している会社は3,822社あります。

東証1部・・・2,177社(全体の57%)
東証2部・・・475社(全体の12%)
ジャスダック・・・686社(全体の18%)
マザーズ・・・432社(全体の11%)

元々の市場の中で一番評価が高く入りづらいとされていたのが、「東証1部」です。しかし東証1部は2,177社。全体の57%と非常に多くの会社が参画しています。

日本を代表する企業群が東証1部とされていましたが、2,000社以上参画しているためどこの企業が業績が良くてどこの企業があまり業績が良くない、あるいは会社規模が厳しくなっているかなど把握ができない状況でした。

上場後企業が継続的に業績を上げる仕組みになっていない

先ほどの東証1部に上場している会社が多い要因にもなりますが、上場後に上場廃止となる基準が非常に緩いです。

上場条件よりも上場廃止条件の方が緩いため、一度上場した企業はあまり上場廃止となりません。

そのため年数が経つごとに会社の数は増えていく傾向となり、結果2,000社以上の企業が東証1部上場となっていました。

この仕組みは東証1部に上場するために、社内体制を整えたり業績向上のため企業努力を行うのですが、上場した後は上場廃止要件が緩いことからあまり努力をしなくなる企業も出てきます。

もちろん全ての企業が当てはまるわけではないですが、企業のプライオリティを示す市場区分として、市場にいる価値をつけなくてはならないと考えも再編される要因の1つとなりました。

再編成後の3つの市場

新編成は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに分かれます。

この名前は外国人投資家にも分かりやすいよう、英語でも通用する名称がつけられています。

各市場ごと役割が分かれていますので、説明していきます。

プライム市場

日本の新市場区分の中で、もっとも目指される価値の高い市場です。

動かす金額がとても多い機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額があることを求められます。

また高いガバナンス水準と持続的な成長、中長期的に企業価値の向上にコミットする企業に向けた市場となります。

つまり国内だけでなく投資額が大きい海外投資家や、機関投資家の投資対象となりうる企業群がこのプライム市場に参画することとなります。

スタンダード市場

日本の中でプライムほど流通性や企業ブランドはないものの、上場企業として一定の業績を出している企業がこのスタンダード市場に分類されます。

公開されている株の中で投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を保っている企業が選定されます。

この流動性とは、私たち個人投資家などが取引する際円滑に行えるかどうか、取引額が一定以上あるかを示しています。このスタンダード市場に上場している株は、問題なく株の売買を行える水準の企業が集まります。

グロース市場

再編成される市場の中で、最も上場しやすい市場となります。

高い成長可能性を実現するため、事業契約やその進捗の開示が適宜行われることで市場から一定の評価を得ている企業が上場します。

しかし新興企業が多くなるため、不安定要素も多く株取引ではリスクの高い企業が集まります。

またプライム市場やスタンダード市場と比較すると、流通性も低いため機関投資家などはあまり手を出さない市場となります。

ざっくりとした区分けは下記の通りです。

プライム市場・・・日本を代表する企業群。機関投資家の投資対象
スタンダード市場・・・ある程度の業績を残している、一定規模の企業。
グロース市場・・・新興企業。リスクは高いが、成長可能性が高い。

投資を行う上で、今回の再編で意識すべきこと

では株式投資を行う上で、今回の東証再編で何を意識すればいいのでしょうか。

市場再編で個々の企業株価が大きく変わることはありません。今まで東証1部に上場していた企業が、「プライム」「スタンダード」に上場するかで多少株価に影響があるかと思いますが、業績が変わるわけではないのですぐに大きな変化はないでしょう。

今回の再編で大きな影響を受けるのは、複数の企業の株価を現した指数です。

例えば「東証第2部株価指数」や「JASDAQ INDEX」などは東証2部とジャスダックがなくなることで廃止となります。

代わりに「東証プライム市場指数」や「東証スタンダード市場指数」など新しい指数が出来上がります。

この指数の入れ替わりが市場再編に合わせて結構起こります。

特に注意したいのが、TOPIX(東証株価指数)の内容が変わります。このTOPIXは元々東証1部の株価で構成されていました。しかし東証1部という括りが変更されるので、内容も変更があります。

市場に上場している銘柄で構成していた指数などは変動が多くあるので、注意が必要です。

ポイント:市場の再編に伴い各指数や商品内容のラインナップが変更になる可能性あり

まとめ

今回は新しく編成される市場について解説してきました。

これまで約90年間変わってこなかった市場が変わるということで、大きな出来事となります。

主に再編成が行われる理由として、各市場のコンセプトや棲み分けが曖昧になっている点や市場の活性化を狙っている点が挙げられます。

今回の再編により、日本の投資家だけでなく海外投資家や機関投資家が分かりやすく、投資しやすい環境になるでしょう。

私たち個人投資家が気をつける内容としては、市場の編成に伴い市場に上場している銘柄で作成されていた各指数や商品のラインナップが変わる可能性があります。

今後どのように変わるかや、ラインナップが変わることで値を下げるリスクがないかなど注意が必要です。

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