経済

世界的インフレの加速!株価が上がりづらい状況に?

2022年2月25日、ロシアが本格的にウクライナへの侵攻を始めました。各地で衝突が起こり、死者も発生している状況です。

この侵攻に伴い、原油の価格が大幅に高騰しました。原油の国際価格は7年半ぶりの高値となるなど、世界的に影響が出始めています
ロシアは世界屈指の原油産出国であり、ロシアからの輸出が止まれば、国際的な原油不足になる事が想定され価格が上昇しています。

では、今回の侵攻によりどのような影響が起こるのでしょうか。

各品目の供給減少

ロシアは原油の輸出も多いですが、小麦の生産も世界の1割を占めています。ウクライナで生産される小麦を含めると輸出の約3割を占めます。

アメリカの小麦の先物取引(将来の価格で取引する市場)では、9年ぶりの高値となりました。

この影響は、単純に原油不足や小麦不足を引き起こすだけではありません。

車のエネルギーとなるガソリンはもちろん、石油が原料となっている化学製品や合成樹脂などの生産減少も見込まれます。
するのその部品を必要とする家電などにも影響が出て、石油の価格だけでなく石油が間接的に使われている全ての商品にも関わってくるのです。

生産が減少すると供給が少なくなり、価値が高くなります。また生産にかかる金額も高くなるため、販売価格の上昇が起こります。

この販売価格の上昇は、何をもたらすのでしょうか。

世界的インフレの前触れ

石油や穀物の供給が少なくなる事により、関連商品価格の上昇が見込まれました。この販売価格の上昇はどのような影響を与えるのでしょうか。

販売価格の上昇は、物価が上がり貨幣の価値が安くなるインフレを産み出します。インフレが起こるとモノの価値が上昇し、私たちの生活に大きく影響します。

物の価格が上がるインフレは非常に良くないものと考えがちですが、良いインフレもあります。

良いインフレは、モノの価値が上がり、企業の業績が良くなり、給料が上がり、その上がった給料でモノを買い・・・と好循環を生み出します。

しかし今回のインフレは良くないインフレであり、私たちの給与が高くならないのに物価だけ上がってしまい生活水準が低くなるという状態です。

この状況に対し、政府はどのような政策を行うのでしょうか。

金融引き締めによるインフレ脱却

先程、モノの価値が上がり通貨の価値が下がることをインフレと呼びました。では過度なインフレを防ぐには、モノの価値を下げれば良いのです。

モノの価値自体は供給状況などに大きく依存するので、通貨の価値を上げる事で相対的にモノの価値を下げる事ができます。

通貨の価値を上げるために行うのが、金融引き締めです。通貨の流通量を減らす事で通貨の価値を引き上げ、モノの価値を下げる事ができます。

通貨の流通量を減らすためには、金利を上げたり通貨の発行量を減らすなどの措置が取られる事が多いです。

ウクライナ情勢が悪化する前アメリカは一足早く金利の上昇を発表し、金融引き締めにより急速なインフレを抑えようとしました。

今後ウクライナ情勢の悪化により、更なるインフレが予想されます。このインフレに対して各国が金融引き締めの対策を行い通貨の流通量が減少する可能性があります。

今日のニュースのポイント!金融引き締めは、企業にとってマイナス

金融引き締めにより、インフレが抑えられてめでたしめでたし。というわけではありません!

金融引き締めはお金の動きを悪くしますので、企業は売り上げが上がりづらかったり業績の上がり幅が少なくなるなど、影響が出てしまいます。

例えば金融引き締めの一つである、金利の上昇。
これについては企業が投資をする為お金を借りる際、利子が高くなってしまいます。

すると企業は利子が高いのであれば、お金借りるのを諦めたり投資を先送りにするので経済が回りにくくなります。

また市場に出回る通貨の流通量についても、金融引き締めにより減少します。
これまで株が購入されることで資金を調達してきた企業は、資金調達がしづらくなります。

先ほどの金利が上昇した際と同様に、投資をするための資金を集めづらく事業拡大が難しい状況が起こるのです。

すると景気は停滞気味となり、企業の業績も伸び幅はあまりなく株価も上がりづらくなるのです。

ウクライナ情勢が今後いつ落ち着くかによって大きく変わってきますが、この状況が続けば更にインフレが加速。金融引き締めへの舵切りも現実味を帯びてきます。

 

世界的インフレは私たちの生活用品の価格高騰だけでなく、インフレによる金融引き締め、それによる景気の悪化が見込まれます。

現在株価について大幅に下がっていますので、押し目買いのチャンスでもありますが今後の金融引き締めには注目をするといいかもしれません。

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