こんにちは!関戸 凛です。
2022年3月、SMBC日興証券の幹部4人が逮捕されました。逮捕された要因としては、株価を不正に買い支えし価格を維持しようとしたからです。
この逮捕は公平・公正に取引されているとされていた株式市場が、意図的に操作されている可能性に衝撃を受けました。
実際証券会社はそれだけの情報と、操作しようと思えば出来る力を持っているということになります。
今回どのように相場を操作したかというと、もちろん数値を誤魔化すことはできないので意図的に資金を入れて株価の下落を防ぎました。
株価の下落を防ぐことで、SMBC日興証券株式会社は多額の利益を得ていました。
この不正に買い支えした取引は、通常の取引ではなく「ブロックオファー取引」と呼ばれるものでした。
ではこの「ブロックオファー取引」どのようなものなのでしょうか?また買い支えすることでどのように利益を得ていたのでしょうか。
ブロックオファー取引とは
ではブロックオファーとはどのような取引なのでしょうか。
ブロックオファー取引は、通常の取引と別の取引となります。
大口の株主が株を一気に売りたいというニーズが出たときに、証券会社が株主の代わりに株の買い手を探す取引です。
証券会社は取引時間外に、売りに出された株を買ってくれる買い手を探します。
買い手は通常の取引と比べ、下記のメリットを得ることが出来ます。
・終値よりも数%安く購入できる。
・購入手数料がない
このように大きく株を売り出したい売り手と、株を安く手に入れたい買い手を証券会社が結ぶ取引をブロックオファー取引と言います。
売り手のメリットはどこ?と感じる方もいるかと思いますが、証券会社に委託することで
安定して株の売却を行うことが出来ます。
ではこの取引により、証券会社はどのように利益を出しているのでしょうか。
ブロックオファー取引の証券会社のうまみ
ブロックオファー取引では、売値と買値の差額分を証券会社が利益として得ることが出来ます。
SMBC日興証券のブロックオファー取引では、取引が行われる日の終値を基準に売り手の株価を計算していました。
例えばこの終値より4%低い値段で証券会社が売り手より買い取ったとしましょう。
そして買い手には終値より2%安い値段で売ったとすると、証券会社は差額の2%分利益として得ることが出来ます。
具体的な数字で見ていきましょう。
売り手はA社の株を1,000株売ると仮定し、終値が500円だったとしましょう。
証券会社買値:500(株価)×0.96(値引率)×1,000(株数)=48万円
証券会社売値:500(株価)×0.98(値引率)×1,000(株数)=49万円
49万円(売値)ー48万円(買値)=1万円(証券会社の利益)
上記のような形となります。こちらは分かりやすいよう低い金額で計算していますが
この取引で何億という単位で証券会社は利益を作っています。
ブロックオファー取引の仕組みが分かったところで、SMBC日興証券はどのように不正をしたのでしょうか。
不正取引について
このブロックオファー取引ですが、成立しない可能性もあります。
成立しない場合とは相場の終値が低くなってしまい、売り手が売りを行わない時です。
もちろん売り手はできる限り高く売りたいので、終値が想像以上に低い場合は売りをキャンセルする事もできます。
その場合はもちろん買い手もつかず、取引自体成立しなくなります。
今回の不正はこの状況を変えるために行われました。
ある株の売りが検討されており、売値の基準となる日の終値が低くなってしまう見通しとなった際に、不正に資金を入れ株価の下落を防いだとされています。
この行為により株価の下落が防がれ、売り手は売りを決行。買い手がつき証券会社は利益を得ました。
つまり自社の利益を得るために資金を入れることで不正に株価を操作し、取引を成立させたのです。
ここでの大きな問題は、取引を成立させるため資金を入れ株価を操作した点です。
取引を仕切る証券会社がこのようなことを行えるのであれば、証券会社はいくらでも売値と買値の差額で利益を得ることが出来ます。
多額のお金を取り扱う証券会社では、公平・公正が大前提の基で売買が行われているため証券会社への信頼の根幹を揺るがす出来事となりました。
今後の金融について
今回の事件で証券会社への信頼が崩れることとなりました。
もし自分がお金を預けている銀行が、自分の預金の金額を操作していると知ったら、その銀行へはお金を預けなくなりますよね。
取引市場では国家規模のお金が動いています。その取引市場で不正が行われたということは、それなりの処罰がなければならないと感じます。
今回の一件である1つの場所で管理するのではなく、相互に管理するブロックチェーンなどのシステムが更に使用されるようになるのではと感じました。
元々仮想通貨の管理システムがブロックチェーンというシステムであるため、注目はされていました。今回の一件で証券会社でも不正が起こってしまうほど管理が脆いということが分かりました。
1つの場所に権利が集約されていたり、人が介入しているとどうしても不正が起こってしまう可能性を排除しきれません。
そこで相互に管理するシステムを入れることで、不正が行われる可能性をかなり低くすることが出来ます。導入するシステムがブロックチェーンではないにしても、管理については根本的に見直すべきだと考えます。
今後は人ではなく機械や相互管理などで、金融を完全に管理してく未来が出来ていくかもしれません。