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日銀指値オペレーション 金利抑制策を発動 アメリカは金利を上げるのに、日本は金利上昇の抑制?

日本銀行は10日、臨時で国債買い入れを2月14日に行うと発表しました。
決まった利回りで国債を無制限に買い取る「指し値オペ」を行います。

この指し値オペは金利抑制策として行われますが、具体的にはどのようなことを行うのでしょうか。
またアメリカの金利上昇とどのような関係があるのでしょうか。
詳しくみていきたいと思います。

そもそも国債とは

国債とはどういったものなのでしょうか。
国債は簡単に言うと"国の借金"です。

企業がお金を借りたい時、債券を発行しお金を貸してくれる人が
その債権を購入することで資金を調達します。

それと同様に国もお金を借りる際、
債券(国債)を発行し、それを購入してもらうことで資金を調達します。

資金を調達するのには、株という手段もあるのでは?と考えた方もいるかもしれません。
株式と債権は似ているようで異なります。

資金を調達する手段としては両方同じですが大きな違いとして、
株式はお金を返す必要がありません。

投資家が各自で売買を行い利益を得ているような形であり、
企業は配当金や株主優待などを提供しますが、お金は返さなくてもいいのです。

しかし債権はそうはいきません。
明確にお金を借りていますので、返済する必要があります。

返済義務の有無が株式による資金調達と債権による資金調達の大きな違いとなります。
国債は国の借金であるため、お金を返す時期が来たら必ず貸した分のお金が返ってきます。

そして貸した債権につく利息についても、支払いが行われます。

指値オペって具体的には何?

指値オペレーションとは、指定の利回りで無制限に国債を買い取ることを指します。
日本銀行が国債を買い取ることで、市場には資金が流れ込みお金が潤沢になります。
そして指定の利回りで確実に日本銀行が国債を買い取るので、利回りがそれ以上増加することはなくなります。利回りが増加しないということは、国債の価格が下がらなくなるとの言えます。

では指値オペレーションの一番の狙いは何なのでしょうか。

それは、"金利の上昇を防ぐ"事にあります。

現在日本銀行は、金利がプラスでもマイナスでも0.25%まで許容すると発表しています。
理由はそれ以上金利が上下すると市場に与える影響が大きく、混乱を招く可能性があるからです。

しかしアメリカの利上げ発表などにより、一時0.23%まで上昇してしまいました。

今後も上昇する可能性は高く、これ以上金利が高くなってしまうと株安など景気に大きく影響を
与える可能性が高く、今回指値オペレーションという措置の発表をするに至りました。

アメリカは金利を上げるのに、日本は金利抑制?

アメリカは今回金利の上昇を狙った措置を行うことを発表しています。

その理由はインフレの脱却です。昨年12月の消費者物価指数(CPI)の前年比は7.0%上昇と、
1982年6月以来の高い水準でした。

今後もインフレが続いてしまうと、物価が大きく上昇し人々の生活に影響を与えます。
そのため、早々に金利を上昇させる措置を行うことでインフレを抑制する考えです。

しかし今回日本はこのアメリカの利上げに対し、金利上昇の抑制策を取っています。
この差はどこから来ているのでしょうか。

アメリカはインフレを抑えることを第一優先で利上げに踏み切りましたが、日本は金利が上昇する事によって景気が冷え込む事を恐れ金利上昇を防ぐ対策をしました。

コロナウイルスにより、世界中が景気回復のため金融緩和を行いお金が回るようにしてきました。
その結果アメリカはお金の価値が下がり物価が上昇し続けてしまう形となりました。

昨今の景気回復や物価上昇を考慮し、金融緩和に歯止めをかける国が増える中、
日本は金融緩和を続ける方針を取りました。

まとめ

今回日本の指値オペレーションについて説明をしてきました。

日本の国債を日本銀行が指定の金利で無制限に購入する事で、
金利の上昇を防ぎ株安などを防ぐ狙いがありました。

しかしアメリカはこれ以上のインフレを防ぐため、利上げに踏み切っている状況です。
その中日本は金利の上昇を防ぐ対策を行うという、反対の対応をとっています。

指値オペレーションのおかげで、今後金利が上昇し続けることはなくなり急激な景気の冷え込みは無くなりそうですが、物価上昇が想定以上に進むリスクもあります。

今後物価上昇や株価の状況を慎重に判断し、迅速な対応が重要となりそうです。

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