近年日本で社会問題となっている「後継者不足」問題。
日本の少子高齢化に伴い、会社の後継者がいないという問題は深刻となっています。
総務省「就業構造基本調査」のによると、2002年の自営業者平均年齢は56.2歳でした。
しかし2016年には平均年齢が61.3歳となり、約5歳高齢化が進んでいます。
1900年代から高齢化は進んでおり、止まる兆しはありません。
少子高齢化に伴い、人材の確保が難しく事業運営に支障をきたすケースが多くなりました。
東京商工リサーチによると、2020年に日本の会社で高齢者が不在の会社は約57%。2社に1社は高齢者がいない、もしくは考えていない状況です。
家業を継ごうと考えている場合は、どのように考えるのがいいのでしょうか。
後継者が特に見つからないTOP3の産業
高齢者問題について、産業別でも差が出ています。
後継者不在率の高いTOP3の産業は、「情報通信業」「サービス業」「小売業」です。この3産業は後継者不在率が60%を超えています。
後継者不在率が一番高かった産業は「情報通信業」ですが、IT関連の会社も多く代表が若い傾向があるのでこのような結果となっています。
そのためサービス業や小売業が、特に高齢者不足で深刻だと言えます。
しかしほかの全ての産業で後継者不在率は50%を超え、日本の会社は全体的に後継者不足であると言えます。
親族の会社を継ぐ人は約42人に1人
中小企業庁の「事業継承を中心とする事業活性化に関する検討会」によると、1980年代では事業継承の92%が親族内継承でした。
しかし2021年には親族内継承を行っている会社は66.7%と、親族内継承の割合は非常に少なくなっています。
親族内継承が減少した理由は、「少子化」です。
内閣府「少子化関係資料」によると、1957年には子供の平均人数が3.6人だったのに対し、2015年には1.94人にまで減少しています。
1人っ子の家庭も多くなり、子供1人の継ぐ意思が会社の後継者問題に大きく影響を与える事態となっています。
東京商工リサーチの調査によると、後継者「有り」と答えた7万2,169社のうち同族内継承を行う会社は4万8,148人(構成比66.7%)でした。
現在日本の会社は約400万社存在します。
大きい会社からペーパーカンパニーまで様々ですが、400万社のうち70%が親族内継承を行う場合、約280万社が該当します。
日本の人口が約1億2,000万人なので、280万人が親族内継承をする場合、42人に1人は家業を継いでいる計算となります。
400万社全ての会社が事業を存続するとは限りませんので、実際には更に少なくなりますが約50人に1人は家業を継いでいるのです。
どうでしょう?思ったより多いと感じた方も多いのではないでしょうか。
家業を継ぐ選択をしている人は日本で200万人以上存在しており、まだまだ後継者として選ばれる確率は高いのです。
代表が60代後半の時に、継ぐ場合が多い
中小企業白書によると、親族内継承の交代前の平均年齢は69.3歳であり70歳近くまで代表が会社をけん引するケースが多いようです。
また休廃業・解散企業の平均年齢は68.4歳でした。
代表が68歳~69歳頃が事業をたたむ場合でも、後継者に会社を譲る場合でも1つの目安となります。
逆に後継者は何歳くらいの人が、多いのでしょうか。
経営交代した際の、経営者年齢の変化を見てみましょう。
経営者の交代で一番多かったのは、後継者が現在の代表より20歳~30歳若くなる場合でした。
代表の経営交代平均年齢が69歳でしたので、40代~50代の後継者が多いことになります。
1世代若くなる傾向が非常に強く、代表の息子や息子世代の年代に継ぐことにより若返りを狙う経営者が多いと考えられます。
まとめ
日本に家業を継ぐ人が、どれくらいいるのか解説してきました。
親族の会社を継ぐ人は、日本に約200万にいます。つまり42人に1人は家業を継ぐという選択をしているのです。
また以前より親族内継承を行う企業は少なくなっていますが、それでも半分以上の会社は親族に経営権を譲っています。
少子高齢化に伴い、「後継者問題」は中小企業の問題ではなく日本の問題にもなっています。
代表が60代や70代の場合は、後継者について真剣に考えることをおススメします。