コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスが2月8日、コカ・コーラの出荷額の値上げを発表しました。
今回の値上げについては自動販売機や小売りなど全ての販売場所に影響があるのではなく、
スーパー・ドラッグストアのみへの措置となり、異例の対応となりました。
狙いは現在販売価格が大きく下落してしまっていることから、販売価格を上げ売り上げの改善を目指したい考えだと思われます。
ではなぜ今出荷価格の値上げを行ったのでしょうか。見ていきたいと思います。
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスってどんな会社?
そもそもコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(以下コカ・コーラBJH)とはどのような会社なのでしょうか。
同社はアメリアのコカ・コーラ社の国内最大のボトラーです。ボトラーとは、清涼飲料水の原液を仕入れ
薄めてボトルに詰めて私たちの手元に渡る状態にして出荷する会社を指します。
つまりコカ・コーラBJHはアメリカからコカ・コーラの原液を仕入れ、それを薄めたりパッケージに入れ販売できる形にし出荷する会社です。
このコカ・コーラ社のボトラーは国内で5社しかありません。かつては17社ありましたが、
統合などを繰り返し現在の5社まで集約されました。
わたしたちの手元に届くまでどんな経路がある?
今回コカ・コーラBJHはコンビニやスーパーなどへの出荷額の値上げを発表しました。
では私たちの手元に届くまで、どのような経路があるのでしょうか。
見ていきたいと思います。
まずコカ・コーラBJHはアメリカのコカ・コーラ社より原液を仕入れます。
そしてその原液を加工し、私たちが手にするコカ・コーラのペットボトルや缶などを生産し
商品として売り出せる形にします。
その後コカ・コーラBJHが直接消費者である私たちに販売するのではなく、コンビニやスーパーなどに売り
コンビニやスーパーなどがコカ・コーラBJHの代わりにコカ・コーラの製品を売ることになります。
そしてスーパーやコンビニなどで売り出しているコカ・コーラ製品を私たちが購入し、
手元に渡るという流れです。まとめると以下の形になります。
コカ・コーラ(アメリカ)⇒コカ・コーラBJH⇒小売り(スーパー・ドラッグストアなど)⇒消費者(私たち)
今回の値上げは、コカ・コーラBJHが小売り(スーパー・ドラッグストアなど)に出荷する際
6~10円程度の値上げをする形となります。
元々コカ・コーラBJHの1本あたりの出荷価格は120円程でしたので、約8%の値上げとなります。
では今回の値上げの背景には何があるのでしょうか。
値上げの背景
現在小売店は薄利多売という形で、安く多く売ることで利益を出している状態です。
その為コカ・コーラ製品のみ値上げをしてしまうと、他の製品が相対的に安く感じられ
売上が落ちてしまうリスクもあります。
ではなぜ値上げに踏み切ったのでしょうか。大きく2つの理由が考えられます。
①業績の悪化
2021年第3四半期の決算書によると営業利益は199億円と赤字でした。
2020年第3四半期は89億円の赤字でしたので赤字が拡大している状況です。
コロナウイルスによる度重なる緊急事態宣言や8月の記録的な大雨により、
売上が苦戦したことが要因です。
その為、飲料の単価を上げることで収益の改善を目指しています。
②原材料の高騰
原材料の価格が商品の販売価格へ影響を大きくもたらしますが、
現在原材料の価格が高騰している点も背景にあります。
主に異性化糖やアルミ価格が高騰しています。またペットボトルの原料である原油についても
不安定な状況が続いており、今後も改善する見通しがない為値上げに踏み切ったと考えられます。
私たちの生活への影響は?
では私たちの生活へ影響は出るのでしょうか。その点についてはすぐに大きな影響は出ないと考えられます。
今回小売店へ出荷価格を30円前後値上げするとの発表でしたが、過去にも同様の事例がありました。
コカ・コーラグループが2019年に商品の値上げを20円しましたが、実際の販売価格は数円程度しか動きませんでした。
現在低価格帯での販売が常態化されていおり、値上げをすると売り上げ減少のリスクがあることから出荷額の値上げにより、販売価格がすぐ反映されるとは考えにくい状態です。
しかし今後コカ・コーラBJHに追随し他の飲料メーカーも値上げをした場合には、市場の価格が上がり販売価格が値上がりし私たちにも影響が出るかもしれません。