経営

【経営者向け】家族経営(同族経営)で注意すべきポイントは?

家族経営の会社で注意すべきポイントを知りたい!

家族経営の会社は日本にどれくらいあると思いますか?

国税庁の会社標本調査(令和2年度)によると、日本で家族経営をしている会社は約268万社にも上ります。

これは日本の会社の約96%以上が家族経営であることを示しています。

これほど家族経営の会社が多い日本ですので、家族経営の会社を継ぐことになったり、役員として会社のかじ取りを任される立場になる人も多いと思います。

家族経営で注意すべきポイントについて、解説します!

この記事で分かるポイント

  • 家族経営とは
  • 家族経営で注意すべきポイント
  • 家族経営の問題

家族経営とはどんな会社?

家族経営(同族経営の定義)

そもそも家族経営とはどのような経営を指すのでしょうか。

家族経営とは、正確には「同族経営」と言います。

国が定める正確な同族経営の定義は、以下の通りです。

株主等の3人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50を超える数の株式又は出資の金額を有する場合におけるその会社

法人税法第2条第10号

つまり一部の人(家族)がその会社の株式や資産を半分以上を保有している場合、その会社は同族経営として判定されます。

日本における同族経営の割合

日本では同族経営の割合は、どれほどなのでしょうか。

令和2年度の標本調査結果によると、同族経営をしている企業は268万6,862社です。日本の同族企業の割合は96.3%です。

資本金が1億以上ある大企業を見てみても、50%以上が同族経営に分類されます。

それほど日本には、同族経営の会社が多いのです。


日本を代表する「トヨタ自動車」「サントリー」「パナソニック」などの企業も、同族経営です。

家族経営と聞くと中小企業を思い浮かべがちですが、大企業でも同族経営を行っている会社は非常に多い状況です。

日本で同族経営は珍しくない。むしろメジャーな経営体質なのです。

家族経営で注意すべきポイント3つ

では家族経営で注意すべき点は何があるのでしょうか。

家族経営で注意しなければならないのは、家族経営だからこその弱みです。

①コミュニケーション不足に陥らないよう注意する

家族経営で気をつけなければならない点は、コミュニケーション不足です。

家族経営なのにコミュニケーション不足?と考える方もいるかもしれません。

しかし家族経営だからこそ、コミュニケーションを大切にする必要があります。

大企業であれば親族以外の社員も多くいるので、会社の状況を把握している人も多く、家族経営の弊害を受けにくいかもしれません。


しかし中小企業で家族経営をしている場合は、注意が必要です。

家族経営で会社を大きくしてきた社長は、多少なりとも会社を大きくしてきた自負があります。


そのためワンマン経営になりやすく、「全て自分が把握していれば大丈夫」「社員は必要以上の事は知らなくてもいい」と判断する場合も多いです。

そのため社長に何かあった際、取引先の対応や社長の業務を把握している人がいないため、会社が混乱します。


そうならないためにも、日頃からのコミュニケーションを大事にし密に連携を取る必要があります。

ワンマン社長の場合社長に任せてしまいがちですが、何かあった時のために家族だからこそ話し合いを大切にしましょう。

②身内に対し、公平な接し方をする

家族経営だからこそ、身内に対し公平な接し方をすることも大切です。

これは身内贔屓しすぎないという事もそうですが、①でも話した身内だからコミュニケーションを取らないというのも良くありません。

あくまで身内に対しても、他の社員に対しても公平に接する事が重要です。

家族経営の場合でも、他の従業員は家族が必要以上に優遇されていないか気にするものです。


公平に扱っていない場合、「〇〇は社長の息子だから」や「あの家族は仕事してるのかな」など従業員から不満が出てきてしまいます。

それは会社の信頼にも関わる問題であり、従業員のモチベーションにも影響します。


公平に接し社長の家族だからではなく、1人の従業員として認められる事で、円滑な事業運営が出来ます。

家族経営だからこそ、どの従業員にも公平に接するようにしましょう。

③後継者について

家族経営でたびたび問題に上るのは、「後継者問題」です。

現在後継者に悩む会社は非常に多いです。

帝国データバンクの統計資料「全国・後継者不在企業動向調査(2021年)」によると、国内企業のうち「およそ3分の2(61.5%)」の会社が後継者不在の状態です。

少子高齢化が進む現代では、後継者問題は避けて通れない問題なのです。

家族経営で子供がいない家庭や、子供が会社を継ぐ意思がない場合などは、他の従業員を社長にするか、会社を畳むか、M&A(合併)も視野にいれて検討をする必要があります。


後継者問題はナイーブな内容であり、話題に上がりにくいですが、今後どのようにする方針なのか話し合う必要があります。

社長の年齢が高齢になる場合は、従業員も今後の会社の方針を心配します。


実際私は祖父の会社を継いだのですが、祖父は当時77歳であり、後継者や会社の今後について嫌でも考えなければならない状況でした。

子供や孫に会社を継がせる方針でも、会社を畳む方針でも、周囲の人間や従業員には事前に意思を伝えておきましょう。

家族経営と非家族経営で業績の差は出ていない

家族経営では、事業がうまくいくか心配の方もいると思います。

実際家族経営と非家族経営で、業績の差はあるのでしょうか。

 

帝国データバンクより引用

結論、家族経営と非家族経営で業績に差が出るという事実は認められていません。

家族経営だから業績の良し悪しが変わることはないのです。

日本のほとんどの企業が家族経営の会社に分類されるため、家族経営を悲観的に見る必要はありません。

会社への影響力が高い人物はいると思いますが、通常の会社経営を心がけましょう。

まとめ

家族経営だからこその注意点について、まとめてきました。

家族経営の注意点

  • コミュニケーションをしっかり取ること
  • 家族も他の従業員も公平に扱う
  • 後継者について話し合う

中小企業になればなるほど、社長や経営家族の会社への影響力は大きいと思います。

統一性が取りやすい強みもありますが、ワンマン経営になりやすいという弱みもあります。

家族経営の体質を理解して、積極的なコミュニケーションを大切にしましょう。

 

 

-経営