2019年出版 吉野 直行さん監修「生活者の金融リテラシー」のレビューです!
題名 :生活者の金融リテラシー
副題 :ライフプランとマネージメント
監修 :吉野直行
編集 :上村協子・藤野次雄・重川順子
出版社:朝倉書店
出版日:2019年11月
ページ:178ページ
1.1分で分かる本の内容について
この本では人生に関わる要素として大きい「お金」を軸に、実際の研究データに基づく記載がされています。
この「お金」についてですが、人生に関わる部分の話が多くライフプランを作成する上で参考になります。
マクロ経済学やマクロ経済学の分野も入っており、経済学や金融学の基礎を知りつつ読み進められます。
確かな情報や勉強も兼ねて人生に関わる「お金」を知りたい方にオススメです。
2.本を読む所要時間目安
本を読む目安時間
- 読むスピードが早い人:2時間〜3時間
- 読むスピードが標準な人:3時間〜4時間
- 読むスピードがゆっくりな人:4時間〜5時間
3.こんな方にオススメの1冊
《こんな方にオススメ》
・経済学についてデータに基づいた確かな知識を身につけたい方
・生きる上で必要なお金の考え方、使い方、投資の仕方を知りたい方
・ライフプランについて、具体的な内容を把握したい方
本書ではライフプランと金融を掛け合わせた内容が書かれています。
自分の人生に大きく関わる「お金」。そのお金について深く知ることが出来ます。
例えば・・・・
日本の各家計金融資産の保有状況について、分かりやすくまとめています。
【各家計金融資産保有状況】
貯蓄を持っている家庭の中央値・・・1,074万円
貯蓄なし世帯を含めた中央値・・・・1.016万円
【各家計金融資産保有状況】
2人以上の世帯 貯蓄残高最頻値・・100万円未満
貯蓄残高300万円未満の世帯割合・・約20%
なんと日本の貯蓄額の中央値は1,000万円越え!自分はこれに驚きましたが、あなたはどうでしょうか。
貯蓄を持っていない世帯を含めても、1,016万円と1,000万円を超えており貯蓄額の多さを物語っています。
しかし見方を変えると、少し違った景色が見えてきます。
2人以上の世帯で一番多い貯蓄額の割合は、貯蓄額100万円以下のグループです。
また貯蓄額が300万円以下のグループは、全体の約20%と大きい割合を占めています。
この統計結果から考えられるのは、「貯蓄を持っている人と持っていない人の格差が大きい」という点です。
資産額が大きい一部の人が貯蓄平均を押し上げるため、平均値や中央値は高くなります。
しかし実態は貯蓄を保有している人・保有していない人で大きな隔たりがあるのです。
このように統計結果から分析することにより、日本全体の状況。また他人と自分を比較した際の金融資産状況について、振り返ることが出来ます。
自身のライフプランを考えながら、金融についても知識を身に付けることが出来る1冊です。
4.この本を通して学べる事
この本ではお金について考えるため、心理的なモチベーションを上げる内容は記載されていません。
事実をベースにした金融学や経済学の基礎を、しっかり学ぶことが出来ます。
本のタイトルが『生活者の金融リテラシー』である通り、"お金"をメインとして解説されています。
まずは金融リテラシーを学ぶため、金融システムについてや金融取引の仕組みについてなどマクロ的に解説されています。
またシステムを理解したうえで、日本の金融状況や社会保険制度について触れています。
その後具体的に個人の家計をフォーカスし、お金を「貯める」「使う」「遺す」「増やす」「考える」などそれぞれのパターンに合った解説をしています。
特にお金を「増やす」のフェーズでは、今後長い人生を生き抜く中で”投資”という選択肢に対し、安易に手を出すことをオススメしていません。
"投資"と一言で言っても株式投資や投資信託だけが"投資"ではありません。
国債や社債、預貯金に対しても利子が付きますので"投資"と考えることが出来ます。
自分がどのように金融資産を保有しておくべきか、その時の境遇や立場によって1人1人最適な金融資産の持ち方は異なります。
ただお金を貯めるために"貯金"を選択するのではなく、保険や株式なども含めどの保有の仕方がベストなのか、改めて考えることが出来る本です。
5.関戸 凛(管理人)の個人的感想
『生活者の金融リテラシー』では、金融学や経済学を学んだことがない人でも、自分の生活に結び付けて学ぶことが出来る点が非常にいい点だと思います!
金融リテラシーを身に着けたいと考えていても、金融システムは自分とは遠い所に位置するため理解しにくい部分があります。
そのため面倒になり"結局よくわからないまま"という方も多いのではないでしょうか。
金融システムについては間違った知識を付けてしまうと、自分の人生にも影響してしまうため正しい知識を身に着ける必要があります。
その点この本では、事実に基づいた金融の知識を自分の生活と結び付けて解説しています。
"自分の生活"と"筋痛の知識"を織り交ぜて解説することにより、途中で読むのを挫折することがない本です。
経済学や金融学の"基礎"の部分にのみ触れているため、内容をかみ砕いているのも読みやすい要因の1つだと思います。
今まで分かっていたように思っていた"保険"や"金利"、"年金"についてなど、確実な知識として得たい方は是非読んで頂きたいです!
6.まとめ
今回は『生活者の金融リテラシー』について、読んだ感想を書いていきました!
自分は大学時代金融学を専攻していたため、改めて思い出しながら読むことが出来た1冊でした。
自分の人生と金融学をしっかり結びつけることが出来るので、興味があれば手に取ってみてはいかがでしょうか。